あかいおしっこ

 9月13日の誕生日は日直でヘロヘロになりましたが、同期の上様先生にイタリアンなところでワインやらケーキやらでお祝いしていただきました鼻中隔です。

 今週は立て続けに病棟の歓送迎会(異動があったそう)で、バブル時代に新人だったナースの皆さんに囲まれて幸せでした。お立ち台経験者の貴重な体験談を拝聴いたしました。

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 内科研修が始まってひと月ほど経ちました。体力的には外科よりよっぽど楽?なのですが、文献を読む量が飛躍的に増えました。なぜか主訴と精査加療の内容が解離している患者たんばかりです。全然common diseaseじゃないよ!こんな田舎病院でこれだから、大学病院はさぞかしカオスなのでしょう。そして殆どが大正生まれ。診断がついても、治療するかしないか、というのが問題になってきます。難しい。

 エコーができるようになりたい!ということで、検査技師のお兄さんにちょこちょこ教えてもらいながら、人間ドックのお客さん相手に腹部エコーあててます。なんとかスクリーニングの形だけは一通り描出できるようになってきましたが(でも膵臓はなかなか出せないの)、描出に必死過ぎて、ボディマーク(体のどこをみてるかのマークね)を入れられない(´;ω;`)そして後で見直したらどこをみようとしていたのかよく分からない…もちろん技師さんと交代して、不十分なところはチェックしてもらっているので安心してください>ドックのお客さん

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 慢性腎不全の末期で、腎性貧血がひどい90overの患者さんがいます。透析以前に、まずは貧血をなんとかしようと色々やっていたのですが、入院7日目に突然の肉眼的血尿。まっかなおしっこなの。患者さんは貧血が結構改善してから割と元気で、「おしっこ赤いの?ふーん」みたいな感じでしたが、「痛くない血尿」つったら、すごくイヤなんです。膀胱癌をほうふつとさせるんです。

 オーベンが往診に出てていなかったから、とりあえず尿検査出して、「け、けつにょう、けつにょう、、腎尿管膀胱尿路!!」と、(俺が)半泣きでエコー室へ。技師のお兄さんにも来てもらって、一緒にみてもらいました。

「前立腺でけーな…」
「まあ、歳が歳ですからね」
「アレ、なにそれ」
「アレ、なんだこれ」

「…膀胱上部にφ3cm大の辺縁平滑、血流のない腫瘤を認めます」

 帰ってきたオーベンを捕まえて、CTを撮るか相談したら、即泌尿器科へコンサルト(そりゃそうだよな…)。翌日の泌尿器科診前に、検査を一通りオーダーするよう指示され、撮れたCTには内部壊死を伴うφ4cm大の腫瘤がくっきり。

 調子に乗ってエコーなんてやらなきゃよかったのかな。90過ぎて透析やるやらないでもめてるところに癌が見つかって、って、見つからなきゃもっと穏やかに暮らせたんじゃあ…入院しなきゃ、家でお孫さんたちと一緒にいる時間ももっと持てるんじゃあ…(慢性腎不全の末期で、放っておけば貧血・心不全・尿毒症で相当苦しむことになるから、何もしないよりは病院でそれなりの治療をした方がQOLは上がるんだけど)。

 全くボケてないし、それなりに元気でADL自立(普段の生活は自力でできる)してる超高齢者、どうしたら良いのかしらね。オーベンには「悩みなさい」と言われました。悩んでます。